薬剤師

血液透析と腹膜透析(2)

本記事は日本有数の透析施設の門前薬局に勤務する薬剤師の方による寄稿です。

血液透析を受ける患者さんは全く尿が出ない場合が多いため、摂取した水分は体に溜まり続け、その分体重が増加します。増加した体重は透析を受けることで余分な水分が抜けて元に戻ります。体の中の水分が適正な状態の体重をドライウエイト(DW)と言い、その体重に近付くように除水をする必要があります。

ドライウエイトから外れすぎないために水分摂取の制限が重要となります。水分の摂取はできるだけ少なくすることが原則ですが、1日の摂取量を15ml/kgDW/day以下を目安とします。つまりドライウエイトが50kgの人であれば1日に摂れる水分量は750ml以下となります。

血液透析に特徴的な症状として、不均衡症候群があります。血液中に蓄積した老廃物の内、電解質や尿素などが透析で早く取り除かれるのに対して、脳細胞内の電解質や尿素などは遅れ、血液と脳の間の浸透圧差により脳圧が亢進して、全身脱力感や頭痛、吐き気などが現れます。不均衡症候群は長く透析を続けることにより起きにくくはなりますが、除水により循環血液量が減少することによって起こる血圧低下は起こることが多く、透析後の患者さんは体調不良を訴える方が多くいらっしゃいます。

対して腹膜透析は毎日透析を行うため、体液の恒常性が保たれ、そのような透析による体調不良は血液透析に比べて起きにくくなっています。

透析患者さんにはカリウムの制限が重要です。腎臓が働いていないため、尿からカリウムが排泄できない状態であり、透析での除去以外では蓄積してしまいます。血液透析での除去には限界があるため血液透析の患者さんは1日のカリウムの摂取量を2000mg以下にすることとなっています。腹膜透析では除去率が高いため、高カリウム血症でなければ摂取制限はありません。

逆に、体に必要なタンパク質も腹膜透析では喪失していまいます。毎日良質のタンパク質を摂取する必要があるのですが、食欲不振で十分なタンパク質が摂れない場合には血液透析に移行する場合があります。血液透析ではタンパク質の喪失はありません。

腹膜透析の場合、腹部のカテーテル出口の感染により腹膜透析が中止となる場合もあります。高齢、糖尿病などの感染に弱い症例、もしくは性格や精神状態により頻繁に手入れを行えない症例などに感染による中止がよく起こります。

このように、患者の生活状況も考慮し、血液透析か腹膜透析かの選択もなされています。

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