薬剤師

透析の合併症と治療薬(1)

本記事は日本有数の透析施設の門前薬局に勤務する薬剤師の方による寄稿です。

透析患者さんは常に様々な合併症に悩まれています。

腎臓の機能の1つである、エリスロポエチンの産生ができなくなるため、造血機能が低下し貧血状態(腎性貧血)となります。治療薬としては基本的に不足しているエリスロポエチンを補います。改善しない場合はビタミンB12や葉酸を投与することもあります。

また、通常腎臓から排泄されるリンが排泄されず、リンが蓄積して高リン血症となります。ビタミンDの活性化を行うことができず、活性型ビタミンDの不足からカルシウムの吸収が悪化します。

リンとカルシウムの調節を担うホルモンである副甲状腺ホルモン(PTH)はリンの排泄を促し、破骨細胞を刺激し、骨吸収を促進することにより血中のカルシウムを増やそうとします。そのため透析患者さんでは副甲状腺ホルモンが常に過剰の状態となり、この状態を二次性副甲状腺機能亢進症と言います。この状態が続くと、骨吸収の過剰により高カルシウム血症や、繊維性骨炎となります。また、血中に溶け出したカルシウムが骨や歯以外の所に付着すると異所性石灰化となります。

石灰化が血管に起こると、動脈硬化が進行し、心血管疾患が起こりやすくなります。透析患者さんの死亡原因の約40%は心血管疾患となっています。治療としては、血中のリンを透析によって除去すること、食事からのリンの摂取を控えること、また内服薬での治療も重要です。

治療薬としては活性型ビタミンD製剤、リン吸着薬(セベラマー塩酸塩、沈降炭酸カルシウム、炭酸ランタン)、カルシウム受容体作動薬(シナカルセト塩酸塩)などがあり、それぞれ副甲状腺ホルモン、カルシウム、リンの下げ幅(沈降炭酸カルシウムはカルシウムを増加させる)がそれぞれ異なるので状態に合わせた選択がされます。

リン吸着薬は食事中のリンと結合して、リンの吸収を防ぎ体外へと排出させます。そのため食事から時間が経ってから服用してもあまり効果が得られないため、患者さんの服薬アドヒアランスがとても大切なものとなります。

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