薬剤師

透析の合併症と治療薬(2)

本記事は日本有数の透析施設の門前薬局に勤務する薬剤師の方による寄稿です。

他に、腎臓の機能が低下することにより排出されなくなるものに、カリウムがあります。通常の食事をしているとカリウムが体内に蓄積し、高カリウム血症となります。その状態が続くと心臓や筋肉に影響が出ます。最悪の場合、心停止となりますので、厳格なカリウム値の管理が重要です。

食事からのカリウム摂取を制限するのが一番重要ですが、コントロールが難しい場合にはケイキサレート散、カリメート散などの薬剤を使用します。イオン交換体である両剤の違いはカリウム吸着時に放出されるイオンであり、ケイキサレートはナトリウム、カリメートはカルシウムを放出します。患者の状態に応じて選択が必要です。

透析患者さんのQOLにも関わる合併症の一つに高血圧があります。元々、高血圧が続き慢性腎不全となった場合もありますが、尿毒素物質、レニンーアンギオテンシン系の異常、体液の過剰など腎不全を原因とした二次性高血圧も起こり得ます。

治療薬としては、主にカルシウム拮抗剤、ARB、ACE阻害薬、他α1遮断薬、β遮断薬など多種降圧剤が血圧の状態や合併症に応じて使用されます。特にカルシウム拮抗剤は肝代謝のため腎機能正常患者と同量が使用できるため多く使用されています。ARB、ACE阻害薬は添付文書上、腎機能低下者、透析患者への使用への注意が入りますが、使用できないわけではありません。ただし、カリウム値のモニタリングは欠かせないものとなります。

透析中や透析後は逆に低血圧となります。除水を行うと血液量も減少し、これにともなって中心静脈圧が低下、心拍出量の低下が起きます。そのため、透析日は降圧剤を服用しない、服用しても長時間作用型は避けるなどの工夫が必要です。低血圧が酷い場合は、透析前に昇圧剤を使用する場合もあります。

降圧剤などの腎機能が正常な患者さんにも使用する薬剤の用量が適切であるかどうかは、添付文書には記載されていないことが多いため、メーカーに確認するか、腎機能別薬剤使用マニュアルなどを参考にされることをお勧めします。

最近注目されている薬剤としてレボカルニチン製剤のエルカルチン錠があります。エルカルチン錠は新薬ではありませんが、最近適応症が変わり、医療行為が原因で起きるカルニチン欠乏症にも使用できるようになったため、透析によるカルニチン欠乏症にも使用できるようになりました。

カルニチンは透析により80%が除去され、さらに腎臓での生成の低下、タンパク制限による食事からの摂取量の低下が重なり、透析患者ではカルニチン欠乏症となることが多くあります。エルカルチン錠の投与は主に2つの効果が検討されており、1つはエリスロポエチン低反応性腎性貧血の改善、もう1つは筋肉症状(筋力低下、筋肉倦怠、筋肉痙攣など)の改善です。日本ではまだ透析患者さんへの投与の経験が浅く、心臓への影響などまだ多くの効果が検討されています。

スポンサード リンク
[↑]ページの先頭へ

運営者・お問い合わせ  プライバシーポリシー
Copyright(c) All Rights Reserved.