薬剤師

透析に至らないために

本記事は日本有数の透析施設の門前薬局に勤務する薬剤師の方による寄稿です。

ここまでのお話の中で『透析患者さんは大変な治療を受けている』ということについて感じていただけたかと思います。透析患者さんに対する知識も大切ですが、薬剤師として透析患者さんと向き合う機会はそう多いものではないと思われますので、身近な患者さんが透析に至らないために、薬剤師として少しだけお手伝いできることについて、最後にお話しします。

慢性腎臓病(CKD)の発症には生活習慣が大きく関与しています。糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、肥満(メタボリックシンドローム)、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなど…。他、高齢であることだけでも腎機能低下の要因となります。

浮腫み、疲労感などの自覚症状はかなり進行しないと現れませんので、定期的な尿検査や血液検査が重要です。会社員であれば1年に1回健康診断を受ける機会があるかもしれませんが、そうでない方には定期的な健康診断の受診を促すことが大切です。

腎機能の低下が見られた場合、必ず最終的に透析になるというわけではありません。腎機能の低下に気付いた時点からどれだけ生活習慣を改善するか、ということが大きく関わってきます。

現時点での腎機能は尿検査でのたんぱく量と血液検査での血清クレアチニン値から知ることができます。血清クレアチニン値から糸球体濾過量(GFR)を算出し、そのGFRから慢性腎臓病の病期を知ることができます。

GFRが90以上であれば腎機能は現時点では問題ありません(ステージ1)。60~89の範囲がステージ2、30~59がステージ3、15~29がステージ4、15未満がステージ5、もしくは透析中となります。全体として言えることは適正量のカロリーを摂取することです(基本は27~39kcal/kg/day)。

尿たんぱくが正常値(0.5g/day未満)のステージ1、ステージ2以外の病期ではたんぱく制限が必要となりますが、たんぱく制限は医師、栄養士の指示を受けた方が適切です。食塩は1日当たり6g以下を目標とするのが望ましい値です。ステージ3以降ではカリウム制限がありますが、ステージ1,ステージ2では特に制限はありません。

ステージ1の患者さんは意外に多いもので、それらの患者さんが摂取カロリー量の適正化、食塩制限に気を付けるだけでも腎機能の低下を防ぐためには大切なことになります。生活習慣病の現病歴がある場合には、それらの薬をしっかり服用していただくことも重要です。

どちらも当たり前のことなのですが、ちょっとした声掛けでその後の患者さんの腎機能低下を防ぐ手助けになるかもしれません。服薬指導の中で患者さんの腎機能にも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

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