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世界最高性能「創薬スパコン」2014年中に稼働へ 理研神戸

一部メディアの報道によると、創薬(新薬の研究開発)を主な目的としたスーパーコンピューターで世界最高性能になるとみられる「創薬スパコン」を、理化学研究所(理研)生命システム研究センター(神戸市中央区)などが開発し、2014年中に神戸・ポートアイランド2期内に設置、稼働させることが分かりました。

スパコンの産業応用は創薬が先行していて、人間の体内の状況を再現して新薬として有望な物質を絞り込む作業に使われ始め、基盤技術となりつつありますが、このスパコンは、創薬にとっては重要なタンパク質の長時間解析が可能になることで、計算速度で国内最速の汎用(はんよう)スパコン「京(けい)」が苦手としてきた分野での活用が期待されています。

創薬は、病気の原因となるタンパク質に強く結合し、効果を発揮する特定の物質をいかに早く突き止められるかが鍵となっていて、スパコン「京(けい)」は結合後のタンパク質の分子の動きを数多く再現するのは得意ですが、特定の分子の動きを長時間再現するのは苦手な側面があります。理研などは分子の動きの再現が得意なスパコンの開発や改良を続け、1990年代~2000年代前半までは世界最高性能を維持していましたが、2000年代後半に米国のスパコンに追い越され、新機種の開発を進めてきたものです。

新機種は「MDGRAPE4(エムディーグレープフォー)」という名称で、開発費は約8億円です。本体は本棚四つ分程度となる見通しで、開発には日立製作所も協力しています。コンパクトなため本体内の通信速度がスパコン「京(けい)」より増し、同じ時間内でスパコン「京(けい)」なら1秒分しか再現できなかったタンパク質の形の変化が、約100秒分再現でき、米国の最高機種の約5倍となる性能を想定して開発されました。

年内には企業との共同研究に使う方針で、泰地真弘人(まこと)副センター長は「京とMDGRAPE4を使い分け、迅速な創薬を目指す。将来的には理研の別の場所でも創薬スパコンを設置し、利用を広げたい」と話しています。
 
一方で、スパコン「京(けい)」の並外れた計算能力をものづくりに生かす動きが広がっていて、トヨタ自動車などが車体、財団法人日本造船技術センターが船体の設計ソフトをそれぞれ開発し、富士通は高性能磁石の開発用ソフトを試作しています。

従来のものづくりでは、実物大の模型や試作品を作り、狙った性能を発揮できるか細かく調整し、その都度確認しながら開発を進めるのですが、実物大の模型や試作品で実験せずに済み、開発期間やコストが圧縮できることになります。2~3年後にも成果を生かした製品開発を始める計画で、製造業の競争力強化につながると見られています。

スパコンを使うアイデアはこれまでもありましたが、計算能力が足りず、補助的な利用にとどまっていました。スパコン「京(けい)」は従来のスパコンでは数カ月かかっていた膨大な計算が数日で終えられるほか、複雑な現象も再現でき、実際に運転するまで分からなかった問題を見つけられるといいます。
 
スパコン「京(けい)」が得意とする性能を生かした製造業の競争力を高めるものづくり、スパコン「京(けい)」が苦手とする分野を補ってなお余りある性能を有する新しいスパコンの誕生、そして、その能力を十分活用した創薬研究に大きな期待を寄せたいと思います。

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