薬剤師

抗凝固薬服用の患者、肺炎で死亡例も バイエルが注意喚起

一部メディアの報道によると、血を固まりにくくして脳卒中の発生を抑える薬「イグザレルト錠」(バイエル薬品)を服用した患者13人で、副作用とみられる間質性肺炎が起き、少なくとも1人が死亡していたことが分かり、同社は厚生労働省に報告するとともに、医療従事者向けの説明文書を作成して注意喚起を始めました。

バイエルなどによると、13例はいずれも70~80代の高齢者で、販売を始めた2012年4月から今年1月までに間質性肺炎の症状がみられたということで、このうち80代の男性1人が死亡しています。報告を受けて厚労省などが因果関係を確認しています。

間質性肺炎(かんしつせいはいえん)とは、肺の間質(肺の空気が入る部分である肺胞を除いた部分で、主に肺を支える役割を担っています)を中心に炎症が起きる疾患の総称で、特発性肺線維症(単に肺線維症ともいう)など多様な病型を含んでいますが、その多くは原因が不明であり、また治療も困難な疾患であるとされています。

そもそも、肺は血液中のガス(酸素、二酸化炭素)を大気中のものと交換する臓器であり、大気を取り込む肺胞と毛細血管とが接近して絡み合っています。この肺胞の壁(肺胞壁)や肺胞を取り囲んで支持している組織を間質といいます。

通常、肺炎といった場合には気管支もしくは肺胞の炎症であり、その多くは細菌やウィルスなどの病原微生物の感染によるものですが、間質性肺炎の場合は、肺胞壁や支持組織から成る間質に生じる原因不明の炎症であり、一般の肺炎とは異なった症状や経過を示します。

間質性肺炎では、炎症が進むと肺胞の壁の部分(肺胞壁)が厚くなり、肺胞の形も不規則になって、肺全体が固くなります。その結果、肺のふくらみが悪くなり、肺活量がおちると同時に、酸素の吸収効率も悪くなってゆき、息苦しくなったり、咳が出たりします。

進行すると、肺がさらに縮み、一部は線維性成分の固まりとなり、その部分は肺として機能しなくなります。肺全体の機能が落ちて、血液中の酸素が不足し、日常生活に支障をきたす状態を呼吸不全といいますが、間質性肺炎の種類によってはこの呼吸不全までは進まないタイプのものもあり、残りの部分で十分に呼吸を続け、日常生活を送ることが可能です。

呼吸困難(息切れ)や咳嗽(せき)が主な症状とされ、咳は多くの場合、痰を伴わない、乾いた咳(乾性咳嗽)が出ます。息切れは最初は階段や坂道を昇った時に感じる程度ですが、進行すると呼吸不全の状態となり、着替えなどの動作でも息切れが出て、日常生活が困難になることもあります。

イグザレルトは高齢者を中心に約20万人が使っていると推計され、バイエル薬品では、イグザレルトを服用中の患者に、せき、息切れ、発熱、呼吸の音の異常などの症状が現れた場合、速やかに主治医に相談するよう呼びかけていますが、厚労省によるイグザレルト服用と間質性肺炎との因果関係の解明が待たれます。

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